引き出しの底から出てきた古い写真に、問題がひとつだけということはまずありません。紙は黄ばみ、折れ目がちょうど誰かの顔を横切り、角は何年も前に破れて欠け、そもそも白黒だったりします。手のひらほどの印画紙に、四つの問題が重なっているわけです。
これまでの選択肢はどちらも時間がかかりました。修復店に出せば1枚ごとに料金がかかり、1週間待つ。自分で Photoshop でやれば、傷をスタンプで消し、顔をマスクで切り、肌に手作業で色を塗って1〜2時間 — しかも1枚あたりです。靴箱いっぱいの写真があるなら、どちらの道も現実的ではありません。
もっと短い道があります。スキャン画像をまるごとアップロードし、直したいことを普通の言葉で伝えれば、GPT Image 2 が傷も欠けた角も失われた細部も色も、1回の生成でまとめて処理します。所要時間は30秒ほどです。
この記事はそれを実際に手を動かせる形にしたものです。使えるプロンプト、損傷の種類別の3パターン、そして誰も教えてくれない部分 — モデルが顔を崩したときにどうするか。すべての操作は古い写真の修復ツールで完結します。開けば画像編集モードで、プロンプトも入力済みです。

本当に難しいのは「その人のままであること」だけ
古い写真の修復で、それ以外はすべて解決できる問題です。傷は消せる。退色も戻せる。角が欠けていても、周りに壁やカーテンや空があるので、そこに何があったかはだいたい推測できます。
難しいのは、顔が同じ顔のままでなければならないという点です。
ほとんどの AI 写真ツールが静かに失敗するのがここです。肌をなめらかにし、鼻筋を通し、目を少し大きくして、あなたの祖母の髪型をした美しい他人を返してきます。技術的には「良くなった」。感情的には無価値です — 自分の祖母に少し似ていない修復写真を欲しい人はいません。
つまり、この作業全体でいちばん重要な動作はひとつだけ。誰のことも作り直してはいけないと、はっきり、しかも繰り返しモデルに伝えることです。以下のプロンプトにはすべてその制約が入っています。消さないでください。
アップロードの前に:スキャンを正しく用意する
モデルは渡されたものだけで作業します。ここで10分かけておくと、あとの再生成が大幅に減ります。
スキャンできるなら撮影しない。 600 DPI のフラットベッドスキャンはスマホ撮影に常に勝ちます。モデルが受け取るのが本物の紙の質感であって、スマホのノイズリダクションの推測ではないからです。
撮影するなら、まず反射を消す。 印画紙を平らに置き、窓際の自然な散乱光を使い、真上から垂直に撮ります。フラッシュは厳禁 — 光沢紙にフラッシュを当てると一部が白飛びし、モデルはその白飛びを写真の内容として忠実に修復してしまいます。
アルバムの白い縁は先に切る。 白フチ、写真コーナー、アルバムの糊跡はすべてモデルの注意を奪います。写真本体だけにトリミングすれば、処理能力はすべて顔に向かいます。
1回に1枚。 集合写真は問題ありません。モデルは4つの顔も1つの顔も同じように扱います。ただし6枚を1ページにまとめてスキャンしたものをアップロードするのはやめましょう。1枚ずつのほうが結果もコントロールもはるかに良くなります。
ほとんどの写真に効くプロンプト
古い写真はたいてい問題が混ざっているので、まずはこの万能版から始めてください。スキャンをアップロードし、貼り付けて、生成します。
この古い写真を修復してください。
- 傷、折れ目、破れ、汚れ、カビのシミ、スキャンノイズを取り除く。
- ぼやけや低解像度で失われた顔立ち、髪、衣服の質感を再構築する。
- 黄ばみ、色かぶり、退色を補正し、自然な色調に戻す。
- 元が白黒なら時代に合わせて自然に着色し、もともと色がある場合は退色した分だけを回復する。
各人物の同一性を厳密に保つこと:顔の輪郭、パーツの比率、表情、髪型、姿勢、そして背景の構図。元のフィルム粒子と光の雰囲気も保つこと。美肌加工をしない、顔を差し替えない、作り直さない。修復のみを行うこと。このプロンプトを入れた状態で修復ツールを開く — あとはスキャンをドロップして生成を押すだけです。
この形をよく見てください。以降ずっと使い回します。
- 直すものを列挙する。 具体的な損傷を、ひとつずつ名指しする。「きれいにして」より「傷を取り除く」のほうが効きます。
- 同一性についての固い制約。 顔の輪郭、比率、表情、髪型、姿勢、構図。ひとつずつ書き出します。漠然とした「正確に保って」では何も縛れません。
- 禁止事項のリスト。 美肌加工しない、顔を差し替えない、作り直さない。「美しい他人」問題を止めるのはこの一文です。
アスペクト比は元のままに。古い写真が標準比率であることは稀で、正方形にトリミングさせると家族写真から誰かが消えます。
損傷別の3パターン
漠然とした「古さ」ではなく、支配的な問題がひとつある場合は、専用のプロンプトが万能版に必ず勝ちます。該当するものを選んでください。
白黒をカラーにしたい
着色は失敗がいちばん目に見える工程です — 肌が発光しているように見えたり、その時代にまだ存在しない色のワンピースになったり。対処法は、モデルが好きな色を選ぶのではなく、時代と生地から推論するよう指示することです。

この白黒写真を自然に着色してください。
- 撮影年代、衣服の素材、その場の光から、肌・髪・衣服・背景の色を推定する。
- 肌の色は柔らかく自然に。彩度を上げすぎない、蛍光色にしない、プラスチックのような質感にしない。
- あわせて表面の傷や粒状ノイズを取り除き、失われた鮮明さを回復する。
誰の顔立ち、表情、年齢、髪型、姿勢、画面の構図も変えないこと。美肌加工をしないこと。もともと写っているものにだけ色をつけること。破れ・折れ・欠け
物理的な損傷でいちばん効く指示は、補完の材料をどこから取るかを伝えることです。「周囲の内容を参照して」と言えば埋めた部分は連続しますが、何も言わないと背景を丸ごと作り出すことがあります。

物理的に破損したこの写真を修復してください。
- 破れた縁、欠けた角、深い折れ目で失われた領域を、周囲の画面内容を手がかりに補完する。
- カビのシミ、水濡れの跡、黄ばみ、汚点を取り除く。
- 補修した箇所を周囲の粒状感、光、影になじませ、継ぎ目が見えないようにする。
各人物の同一性、姿勢、元の構図をそのまま保つこと。写真にもともと存在しない人物・物・背景要素を追加しないこと。ぼやけていて小さい
眠い低解像度のスキャンは、たいてい顔の細部が完全に失われています。再構築してほしい部位 — 目、まつげ、眉、髪 — を名指ししてください。そうしないとモデルは「ぼけ」を「くっきりしたぼけ」にするだけです。

ぼやけた低解像度のこの写真を救い出してください。
- 顔の細部(目、まつげ、眉、唇、一本一本の髪)と衣服の織りの質感を再構築する。
- ぼけ、スキャンノイズ、圧縮ノイズを取り除き、くっきりと自然な仕上がりにする。
- 元のフィルムの粒状感と光の雰囲気は残す。
顔立ち、年齢、表情は完全に同一に保つこと。シャープをかけすぎて硬い見た目にしない、美肌加工をしない。顔が崩れたときは
必ず起きます。たいていは集合写真のいちばん小さい顔か、いちばんぼやけた顔です。対処は3つ、手を伸ばすべき順に並べます。
その部分だけ直す。 結果を残したまま編集を続け、範囲を絞った指示を出します:「右側の男の子の顔だけを、元のスキャンにより近づけて描き直してください。それ以外は一切変更しないでください。」 全体を再生成して運を試すより、狙い撃ちの修正のほうがずっと確実です。
引き直す。 同じプロンプトでもう一度生成します。修復には運の要素があり、2回目のほうが単純に良いことがよくあります。
モデルに見えない事実を足す。 スキャンには写っていない情報をあなたは知っています。「左の女性は緑色の目です。」 「制服は黒ではなく紺です。」 「彼女はこのとき19歳で、中年ではありません。」 一度に1つずつ — まとめて指示を積むより、3回に分けたほうが良い結果になります。
原則は「抑制」。1回のラウンドで求める変更はひとつだけにしましょう。
プリントするつもりなら
初期設定は安く済むよう調整されていて、プロンプトが効くかを試す段階ではそれが正解です。ただし修復した写真はたいていどこかに行き着きます — 棚の額縁、親に渡すプリント、自分の分も欲しいという親戚への郵送。
気に入った版ができたら、画質設定を 2K か 4K に上げて、その版をもう一度生成してください。高解像度は小さいサイズでは必ず失われる肌の質感や布の織りを保持します。額装のために引き伸ばしたとき、いちばん最初に粗が出るのがまさにそこです。クレジットも時間も余計にかかるので、最後に1度だけ、すでに承認した版に対して行いましょう。
アルバムを1冊まるごと
再利用できる資産はプロンプトそのものです。自分の家の写真に合う言い回し — 同じ年代、同じ印画紙、似た損傷 — が固まってしまえば、あとは機械的な作業です。
- まとめて全部スキャンする。本当のボトルネックは AI ではなくここです。
- 標準のプロンプトと低画質設定で、1枚ずつ処理する。
- うまくいったものを残し、失敗した数枚だけ引き直すか部分修正する。
- お気に入りだけを 2K か 4K で再生成し、プリント用にする。
靴箱の40枚のうち、本当に引き伸ばしたいのは6〜7枚、というのが多くの人の実感です。40枚は安く修復し、7枚はきちんとプリントする。
修復にできないこと
はっきり言っておきます。AI 修復の宣伝ではたいてい語られない部分だからです。
修復された写真は、きわめて近い再構築であって、失われた情報の復元ではありません。ぼやけた3ピクセルしか残っていない目をモデルが再構築するとき、それは非常に根拠のある推測です。結果はその人に見えますし、家族なら一目で分かります — しかしそれは元のデータではなく、これからもそうはなりません。
実務上の帰結が2つ。元のスキャンは必ず保管すること。修復版と並べて保存してください。そして歴史的・法的な重みを持つ用途 — 本人確認、アーカイブ作業、記録としての証跡 — では、修復版は図版であって証拠ではないものとして扱ってください。
残りの99%、つまり1952年の結婚式に写る誰かの両親については、これがまさに求めているものです。
スキャンと万能プロンプトを用意して、古い写真の修復ツールで1枚目を試してください。最初の結果が顔を保ったまま損傷を消せていれば、あなたのテンプレートは見つかっています — 靴箱の残りにかかるのは、スキャンする時間だけです。
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